もそもそ北京/第1日


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中国行きのスロウ・ボートジェット・ストリーム(違)

 ぼくは飛行機に乗った経験が数えるほどしかないので、空港での手続きとか、飛行機の種類とか航空会社のマークとか、全然わからない。しかし、同行者のむふふ氏は、幼少の頃からの国際派(?)らしく、成田空港の展望室から、いろいろ教えてくれる。あれはアシアナ、あっちはカンタス、あれはトルコ…。飛行機の機種にも詳しいらしく、あれは古そうに見えるけど結構新しい機材のはず、と教示してくれた。

CA926 その「古そうに見えるけど」の、中国国際航空CA926便。マーキングがショボいんだな、こりゃ(笑)

 ここで、今回の同行者である、むふふ氏について簡単に御紹介。──ぼくとは高校時代からの友人で、当時は変なタマネギ頭のキャラが登場する年賀状で勇名を馳せていた(?)。その後、紆余曲折を経て、現在では湘南藤沢方面の大学に在学中。また、ぼくと同じく高校3年の頃からの中国語学習歴を持ち、語学研修プログラムで北京大学に1か月滞在した経験がある、強者である。

 一方、ぼくも以前、北京には団体旅行で行ったことがあるので、二人とも、北京に関してはひととおりの観光旅行は済ませているということになる(故宮とか、景山公園とか、八達嶺長城とか、十三陵とか、外国人観光客が連れて行かれるようなところには、ひととおり)。

 今回の旅行は、近畿日本ツーリストグループが販売している、10日間滞在で56,000円という破格のパックに魅せられたもの。午後便出発・午前便帰国なので、最初と最後の1日ずつはそれぞれ、行くだけ・帰るだけになるが、それでも間の8日間はフルに滞在できる。

* * *

 さて、地元からの高速路線バスの関係で、少し早く成田に着きすぎてしまったものの、そば屋でまったりしたり、郵便貯金を下ろしたりして、ずいぶん余裕が持てた。14時55分、飛行機は満席で離陸。ぼくは窓際の席だったので、景色が見えて、単純に楽しい。

 機内食が配られたとき、後ろの方で、「鶏か魚か?」と尋ねているのが聞こえたので、…よし俺は鶏だ、と決めて待ちかまえた。いよいよぼくらの列に来た時、むふふ氏とぼくは、はからずも声を揃えて、

チーロウ!(鶏肉)」
 スチュワーデスの人、失笑してた。あ〜馬鹿みたい(自爆)。

ジェット・ストリーム。。。(城達也氏の声で)

 韓国の山河が見える。山あいに川と道路がくねくねと走り、家々がそれにへばりついている、日本とよく似た感じ。──しかし、西日に向かって飛び続けて、次に見えてきた中国大陸の風景は、まったく違った。どこまでも平らな大地に、まばらに走る、クリークや並木道。大河。北京に近づいて機の高度が下がっていくにつれて、いろんなものがはっきり見えてくる。モノトーンに夕暮れていく中国大陸の景色に、ぼくは釘付けになった。


北京・首都国際機場

 北京には民間空港は1つしかない(はず)。「首都国際機場(空港)」は、市街地の東北、20キロ程度のところにある。北京のだいたいの地図はアタマにたたき込んできた。あぁ、あのへんが建国門外のビル街。。。などと思う間もなく、容赦なく高度が下がっていき(着陸前ってやっぱり怖い/>_<)、着陸した。まずは無事に着いた。。。

 まだベルト着用サインは消えてないのに、周囲の乗客はどしどし立ち上がって、荷物を下ろし始める。どうせまだ降りられないのに。。。スチュワーデスが少し注意してたけど何にもならない。このフライト中、そういうサインを守らない乗客はほとんどが日本人だったように思う。

 さて、出口に殺到する乗客の波が引いたあたりから、ぼくらも腰を上げて、機を出てターミナルビルに向かう。…ぼくが前回、北京に来たのは4年前のことだったけど、空港ビルが一新されていて、びっくり。前はひどく鄙びた田舎空港だったのに(それこそ紅衛兵が赤旗の記者に暴行しそうな、共産中国的な雰囲気だった)、今回は、成田だと言われてもわからないのではないか、というほどのきれいなビルに変わっている。むふふ氏が訪れた2年前には、もうこのビルだったとのこと。

(あとでわかったところでは、新しいターミナルビルが98年?だかにできていたらしく、正式には「首都国際機場」だそうだ。千歳空港と新千歳空港みたいなものか。よく見ると、向こうの方に昔のターミナルビルらしき建物が見える。あちらはこれから改装して、また使う予定らしい。)

 入国審査の係員も、同僚と無駄話を飛ばしながらパスポートをチェックしていて、軟派な雰囲気。前回は、一言もしゃべらない仏頂面のおっさんに、パスポートをバンッ!!と返されて、大いにビビッたものだったけど。

 さて、ゲートを出ると、ぼくらの名前を書いた紙を掲げた、背の高い男性がいる。空港からの送迎にあたる、中国青年旅行社のZ氏だった。このコースで入国したのは、ぼくら2名と、同じく学生風の男性2人組、年齢不詳の男性1名の、計5名。マイクロバスに乗って、すっかり暗くなった空の下、飽くまでもまっすぐな「機場高速(エアポート・フリーウェイ)」を、市内に向かって出発した。身構えていたほど、北京の空気は冷たくない。

 30分ばかり走ったかな? 車でいっぱいの市内に入って、目指すホテルに入る細い横町の入口で、「車が止まってるからこのバスは入れない。ここで降りて」と言われて、荷物をガラガラ引っ張って、歩いてホテルに入った。これから10日間の宿となる、侶松園賓館(リュゥソンユェン・ビングァン)である。


ちょっと笑えない事件も

侶松園賓館 チェックインを済ませて部屋に案内されると、、、なんと、ダブルベッドじゃないですか!! もちろん、むふふ氏もぼくも、男性。そういうことになるのは非常によろしくない(核爆)。ロビーに取って返して、ガイドのZ氏を呼び止めて、ツインの部屋にしてくれ、と頼む。う〜ん、日本語がわかるZ氏が帰っちゃう前で、本当によかった。

 例の年齢不詳氏は、Z氏とフロントを相手に、一人なのでシングルベッドの部屋にしてくれ、と交渉して、さっさと部屋に入ってしまった。このホテルには何度も来ているらしい。いったい何者なんだろう? 学生にしてはトシを食っているし、勤め人とも思えない。

 さて、ツインの部屋に変えてもらって、入ってみると、──狭い。ベッドが両側に2つ、奥にテレビ、手前に申し訳程度のテーブルと椅子、トイレとシャワー、それで終わり。くつろぐような部屋ではない。なるほど、安いわけだ。

トイレとシャワー…狭い…浴槽がない…つらい… それに、空気がすごくカビくさい。長い間使っていなかったようなにおいだ。不潔とか、そういう感じはしないのだが。エアコンをつけてみようとしたが、操作パネルがどこにあるのかわからない。見たところ、普通の民生品のエアコンだと思うのだが、リモコンもない。フロントに行って聞いてみると、壊れているのだ、と言う。ほんとかよっ!

 しかし、館内は暖房が効いているらしく、暖かい。まあいいや。とりあえず夕食を食べに行かなければならない(ホテル内にレストランもあるようだけど、高いだろうし、せっかく中国に来たんだから外の料理屋に挑戦したいしね)。フロントで日本円を人民元に両替する。1万円が、612元になった。1元未満は切り捨てらしい。

 え、ええと、「我々は今から外に食事をしに行く。」…はいわかりました、とルーム・キーを預かってもらった。この、鍵を預ける時に何と言えばいいのかがよくわからず、旅慣れていない旅人は情けない思いをすることになった(…)。

* * *

 夜の北京の街を歩く。中国の匂いがする。…これは比喩的表現ではなく、本当にあるんだよね、中国の街の匂いって。これは、後でその正体がわかることになる。

 通り沿いの料理屋を物色しながらしばらく歩いて、ある一軒に、意を決して(笑)入ってみる。しかし、この手の注文の方法はぼくはよくわからないので、むふふ氏にお任せ。。。ギョウザを2種類と、油っこいぶっかけ麺のようなものを食べて、あと、むふふ氏お奨めの“杏仁豆腐ジュース”のような飲み物「露露(ルゥルゥ)」を一缶ずつ飲んだ。おいしいし、おなかいっぱい。

 会計を頼む時に(「シァオジエ、チン・ジエジャン!」)、100元札を出したら、やはり面倒らしく、「小銭ないの?」と聞かれ、ない、と言うとプイッと行ってしまう。でも、悪い感じではない。2人で、あわせて26元(416円)だった。しかし、どうやら一品、注文したものの出てこないまま席を立ってしまった料理があったらしい(笑)。やはり日本人はせっかちすぎたのだろうか。。。

 トロリーバスやタクシーが走り回る道路を眺めながら、歩道(自転車レーン?)を歩いて、ホテルに戻る。



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