じゃわじゃわ旅行記 熱走、しまなみ海道
自転車で海を渡れる。──そう聞いただけでわくわくしちゃいます。
瀬戸内海を渡る、いわゆる「本州四国連絡橋」には3つのルートがあります。まず、いわゆる「瀬戸大橋」、岡山県児島市〜香川県坂出市を結ぶ、備讃瀬戸大橋。次に、明石海峡大橋から淡路島を経て徳島の鳴門に向かう、神戸淡路鳴門自動車道。
そしてもっとも新しく、平成11年に開通した、“尾道・今治ルート”は、広島県の尾道市から愛媛県の今治市まで、途中、6つの島を橋でめぐりながら、自動車道がつながっており、“瀬戸内しまなみ海道”という通称がつけられています。
そして、これらの橋には自転車・歩行者道が併設されていて、自転車で尾道〜今治間を走破することができるということなのです。沿線の各市町村がレンタサイクルを運営しており、共通で乗り捨てができるそうです。
尾道〜今治間は、自動車道では約60キロですが、自動車道の全区間にわたってサイクリングルートが併設されているわけではなく島の中では一般道を通るため、自転車では69キロほどになる模様。1日でじゅうぶん走れる距離ではあるけれど、日頃からまったく身体を動かさないぼくにとっては、ちょっときついかなぁ。季節も季節、灼熱の真夏だし。。。まあ、のんびり行って、きつそうなら途中で一泊すればいいし、行けそうなら行けばいいや。などと、気楽に構えて、行ってみることにしました。朝、今治側で自転車を借りて、その日の18時までに(サイクリングターミナルが閉まるまでに)尾道にたどりつけるかどうか。。。
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11:20 |
2004年7月18日、日曜日。愛媛県今治市側のサイクリングターミナル、『サンライズ糸山』から出発。もうちょっと早い時間に来るつもりだったけど、松山のホテルでゆっくりしすぎたなぁ。。。 レンタサイクルはMTBも選べたようだけど、長距離なので乗りなれない形の自転車は避けて、ここは敢えてママチャリを選択(^^;。前かごもついてるほうがいいと思ったし。 「尾道まで行く」と申告したからか、貸してくれたのは広島県側の自転車。ストレートハンドルではなかったので残念だったけれど、一応3段変速だし、まあいいか。 |
出発していきなり最長の橋。今治から対岸の大島まで、全長4,045mの、来島海峡大橋。 橋は高いところに架かっているので、ぐるぐると上っていくルートがたいへんきつい。 |
自転車・歩行者道に立つ標識は、「尾道まで69km」の表示。さあ行くぞ。 |
非常に暑い日。来島海峡大橋を走りきるのに15分くらいかかった。大島側に渡って、すぐに自動販売機でアクエリアスをがぶ飲み。先が思いやられる。。。 |
橋を渡って島の中の一般道に下りるところ。道標は特に愛媛県側では完備されているので道に迷うことはありません。 | 大島では、南側の吉海町と北側の宮窪町の間の山越えが、このルートで一番きついところだったかも。 ダラダラとした上り坂が終わると気持ちよく下って、島の北側の漁港の集落に出る。疲れが吹き飛んでそのまま左折、さらに海岸を走り、伯方・大島大橋へ。しかし途中、雑貨店の軒先で、またもやアクエリアスをがぶ飲み。。。 |
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12:45 | 伯方島に渡ると、海水浴場と、道の駅を発見。洗い場の水道でタオルを濡らして、身体を冷やす。太陽はさらに高く照りつけ、走っていると消耗が激しいのを感じる。海水浴客に混じって、売店でかき氷を買って食べたが、そのおいしかったこと。 | 家並みの向こうに造船所のクレーンが並ぶ、伯方島。 |
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13:10 大三島橋を渡る。 | |
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13:35 | 道の駅「多々羅しまなみ公園」でひとやすみ。多々羅大橋を望みつつ、この日3本めのアクエリアスを飲み干す。 このあたりまでで約29キロ、行程の4割程度を走ったことになる。 実は、多々羅大橋まで何時間で来られるか、というのを気にしながら走っていた。スタートから30キロ足らずの多々羅大橋まで、もし3時間かかるようなら、今日中に尾道にたどりつくのは諦めたほうがいいだろう、と思っていたのだ。 しかし、この時点で、スタートから2時間強。心配していたほど悪いペースではない。 自転車でツーリングしている人にはよく会うが、ママチャリの人などはさすがにおらず、MTBタイプか、ロードレーサーのような自転車に、ヘルメットやサングラス、スパッツのようなパンツを着けていたりして、みなさんプロ仕様の人ばかり。リュックサックを背負ってジーンズを穿いているぼくのような素人装備の人間は、いないなぁ。(リュックは背中に汗がたまるし、ジーンズも重いし通気性が悪くてスポーツには不向きだよね) |
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13:50 | 多々羅大橋を渡る。土木工学の造形の妙。 ちなみにこの橋のピアの下で音を鳴らすと“鳴き竜”みたいな現象が起こるということで、拍子木が置いてありました。 | 何に注意しろと…? |
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生地島は広島県瀬戸田町。 生地島内のルートは、島の西側の海岸沿いを進んで、「サンセット・ビーチ」や瀬戸田町の中心街を通っていくのが公式の推奨ルートだが、東側ルートを取ったほうが距離的には短そうな気もする。実際、ぼくとほぼ一緒に多々羅大橋を渡って生地島の海岸道路に下りた“プロ仕様”のサイクリストたちの一団は、迷うことなく左折して東側ルートへと針路を取っていた。ぼくも少し迷ったものの、途中で事故に遭ったりした場合は人口の多いところを走っていたほうが都合がいいだろう、などと考えて、公式マップのとおりに西側ルートを進んだ。──平山郁夫美術館や耕三寺などの名所を無視して、ひたすら突っ走る。 |
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15:00 | 高速道路といっしょに生地橋を渡って、因島(いんのしま)へ。 | |
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15:30 | 一般道に降りたところにあったローソンで20分ほど休憩してから、出発。 因島は「因島市」であり、道路沿いにショッピングセンターなどもあって、人口も多いみたい。これまでの島よりもだいぶ都会になってきた。 しかし海岸を離れて丘陵地帯を横断していくと、斜面にタバコ畑が広がる、やはりのどかな島だった。 実はこのころすでに、日焼けのせいで腕や首筋は真っ赤になってしまっていて、ヒリヒリと痛かった。首筋にタオルを巻いて、自転車を漕ぎ進む。タオルは水道が使えるところを見つけるたびに濡らして、もう一枚は自転車の前かごに適当に引っ掛けたまま走って、干す(笑)。汗みどろで、ママチャリで、見た目は滑稽だろうけれど、ちょっとなりふり構っていられなかった。 |
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16:00 | なぜかモアイ像のあるドライブインで休憩。目の前には白いビーチが広がる。そして、次の橋、因島大橋も見えてきた! | |
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16:20 | 因島大橋を渡って、向島(むかいしま)へ。ここは上段が自動車道、原付・自転車・歩行者は下段の鉄骨の中を通る。 | | 少し立ち止まる。夏の陽もだんだん翳ってきて、静かな風が感じられた。 |
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17:10 | 向島に入ると、脚が死に始めた。気力と惰性で走り続ける。向島の海岸沿いを走っているのだが、漁船がつながれている岸壁からすぐ先のところに見える陸地は、本土ではなくまた別の島だったりする。複雑な地形だ。
住宅街に入って、道も車道の脇のでこぼこの歩道になり、走りづらくなってくる。遠くに山の上の天守閣が見え始めた。尾道城だ。──しかし、その間にはまだ海がある。つまりまだ本土ではなく離島にいるのだが、交通量も多く、愛媛県側ののどかな空気はすでにあとかたもなくなっていた。 本土への尾道大橋は歩道がなく、自転車では危険なため、渡船を使うように、と、どのガイドにも書いてある。渡船乗り場はいったいどこだ、どこかで曲がらなければならないはずだが…、と走り続けていたが、それっぽいところで曲がってみたらすぐに見つかった。このへんは自分の方向感覚に感謝。「尾道駅前渡船」に乗りこむ。自転車は110円。 |
| 向島側の渡船乗り場。工場の脇のごみごみした路地の行き止まりにあった。 | | 左が向島、右に見えるのが尾道市。夕方の淡い光になってきた。 |
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5分ほどで尾道水道を渡り、渡船から降りると、そこは尾道駅前。 |
レンタサイクルを返却する。今治から6時間、行程はあっけなく終わった。 最後のほうはあれだけきつかったのに、どうもまだ走り足りないような気がしてしまうのが不思議。 この日は尾道で適当な安ホテルにでも泊まろうと思っていたのだけれど、古めのビジネスホテルの部屋に入ってみると非常にカビくさかった(部屋を替えてもらってもダメだった)ので、疲れてもいるしまともなホテルに泊まろう…と思い直して、尾道水道に面した少し高めのホテルに投宿した。洋食屋さんでお酒を飲んでごはんを食べて、尾道水道の夜景を眺めて、満足の一日だった。 |
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熱走69キロ | 最初は、もっとのんびり走ろうと思っていたんです。フラフラと寄り道したりしながら。。。が、走り始めてみると、あまりのキツさにほとんど我を忘れて(?)しまい、わき目もふらずに尾道へ直行してしまいました。
今治のスタート地点(サンライズ糸山)に着いたのが遅かったために、少し焦りがあったし、真夏の痛い陽射しを浴びながらの苛酷な消耗戦になったこと、等々、、、両腕と首筋にものすごい日焼けをしてしまいましたし(日焼けを甘く見てましたけど、身体に悪いよね…。背中に新しくほくろができちゃったし)。もっと穏やかな季節にもう一度チャレンジしてみたいですね…。東京からではそうそう何度も来られる距離ではないですけど。
それにしても、普段まったく運動をしないぼくが、69キロを6時間で走りきったのですから、自分としてはなかなかがんばりました(^^
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補遺▽ 松山散歩 :1日目は夜行バスで岡山に着き、列車で瀬戸大橋を渡って四国入り。 ▽ 尾道散歩 :3日目、尾道市内を歩き回ってから夕方の列車で帰京。
当ページの地図画像は、「白い地図工房」が配布しているデータを加工したものです。(著作権:白い地図工房)
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